“今どき”学生が仕事に求めていることとは?

完全な売り手市場ともいえる昨今において、「採用ブランディング」の観点がますます重要となっています。

ブランディングとは、ある「ブランド」(イメージと言い換えても良いかもしれません)を形成するための活動を意味するもの。
『〇〇といえば□社の商品』と、消費者の頭にパッと浮かんでもらえるように、商品のロゴやパッケージ、キャッチフレーズなど様々な要素を組み合わせて広報をします。

一方、採用ブランディングの場合、伝えたいのは「その会社で働く意義」です。
会社の特徴や強み、仕事内容を求職者目線で魅力的に抽出し、『この会社で働きたい!』と思ってもらわなければなりません。

ただ、採用ブランディングと言っても、ブランディングに違いはありません。
大切なのはターゲットの視点です。
ターゲットは何を重視し、何を基準に選択するのか。
その前提を知っていなければ、いくら会社の魅力を伝えたとしても空回りしてしまいます。

そこで今回は、新卒採用におけるターゲット=学生が、会社や仕事に対して何を重視し、何を期待しているのかをご紹介させていただきます。

企業選びでは仕事内容と安定性を重視

新卒採用におけるターゲットは、少し特殊なケースかもしれません。
対象となる年齢は常に同じでも、その価値観は例年変化し続けるからです。
そのため、採用活動を行う人事担当者は、“今どき”学生の志向性を追う必要があります。

まず、企業選択において最も重視しされているポイントについては、「自分のやりたい(仕事)ができる会社」(38.1%)です。
こちらは、例年高い割合を占める回答となっており、仕事内容における企業選択は学生にとって最もスタンダードな就職活動の基準と言えるでしょう。

参照: 2019年卒マイナビ大学生就職意識調査

次いで重視されている「安定している会社」(33%)に関しては、4年連続で上昇しており、仕事内容と並んで約3割を超える割合を占めています。

その他、「これから伸びそうな会社」(12.3%)、「給料の良い会社」(15.4%)、「休日・休暇の多い会社」(10.1%)、「勤務制度・住宅など福利厚生の良い会社」(13.7%)、「働きがいのある会社」、「社風が良い会社」(14.1%)と、10%を超える回答が続いており、価値観の多様性が進んでいる印象を受けます。

“楽しく働きたい”が意味するものとは?

就職観における質問では、「楽しく働きたい」(33%)が最も高い割合を占めています。
こちらの回答に関しては、年によって上下の変動があるものの、常に一番重視されているポイントとなっています。

参照: 2019年卒マイナビ大学生就職意識調査

次いで重視されているのが「個人の生活と仕事を両立させたい」(24.2%)といった回答。
こちらも年によって多少の変動はあるものの、例年約4人に1人が選択しています。

この調査に関して気になるのが、「楽しく働きたい」が意味している内容です。

例えば、先ほどご紹介をした企業選択のポイントとして重視されている「自分のやりがい(仕事)ができる会社」と、就職観における「個人の生活と仕事を両立させたい」から考えられるのは、バランスを大事にしているということ。

つまり、『自分のやりたい仕事であればプライベートな時間を割いても構わない』といった考えではなく、『自分のやりたい仕事をして、かつワークライフバランスも重視したい』といった気持ちが、新卒学生の本音と言えるでしょう。

まとめ

また、行きたくない会社の回答として最も高い割合を占めている「暗い雰囲気の会社」(参照:2019年卒マイナビ大学生就職意識調査)からも、新卒学生のポイントは、仕事内容ありきではなく、仕事内容と働きやすさ(=会社の雰囲気・休日や残業等の働く環境)のバランスであることが読み取れます。

こういった価値観は、約半数の2001年卒学生が企業選択に重視するポイントとして「自分のやりたい(職種)ができる仕事」(45.9%)を挙げていた頃と比較すると、大きく変化をしていると言えるかもしれません。

参照: 株式会社毎日コミュニケーションズ 2000 年度 大学生の就職意識調査結果報告

そのため、採用ブランディングに話を戻すと、「働きやすい環境で、やりたいことができる」という観点は、“今どき”学生に響きやすい1つの切り口となるかもしれません。

あくまでほんの一例ですが、新卒採用活動における参考にしていただけますと幸いです。